自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光をまとって飛んできている
私も あるとき
誰かのための虻だったろう
あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない
吉野 弘
詩人(自称/雑文業)/1926年・山形県酒田市の生まれ。2014年没
「一度は死んだはずの命を人のために役立てたい」と終戦後、21歳の吉野さんは詩人になることを決意しました。吉野さんの詩には、平和への想いだけでなく、人間という弱い存在を受け止める、いい意味での諦念や、他者に対するやさしさなどを感じ取ることができます。
人の森 株式会社と新社名が決定し、ロゴマークが開発されたとき、この詩がまるで人の森を語っているような気がして、本人に承諾を得て使わせていただきました。素晴らしい詩が沢山あるので是非読んでみてください。
人の森株式会社のシンボルであるロゴマークは、様々な線の連動体としてデザインしています。
本来、文字の基本は、ひと続きに連なっていますが、
このシンボルでは、一画一画をバラバラにしています。
それは、あたかも会社組織のように、人が集い連動することで目指すべき存在価値である
「人の森」を現出させているかのように見える造形にするためです。
つまり、ランダムな集合では得られない他者(ステークホルダー)と結びつくことの関係性や役立ちで生まれる価値、意義、喜び、美しさを、
人の自然な生命力の発露としてとらえているからです。
構成要素であるそれぞれの線は、植物が産みだす酸素や風、幹や枝、葉のようなものをイメージしています。
これら表現内容すべては、自然(生命)の道理に適うからこそ、人の森株式会社が、私たちの世界から求められてやまない存在として、発展や変化を怖れないことを提示していくものです。
代表取締役 加藤 政徳
この10年間に何度となく加藤社長のお話をおうかがいする機会があったが、毎回一番楽しみにしているのは、いつも私である。
何故なら、いつも違う部分とぶれない信念があるからだ。
つまり、いつも進化している、イノベーションしているのである。
これは、なかなか出来ることではない。人はどうしても、過去の成功体験に縛られてしまうものだ。或いは、地に足がつかなく、いつも時代にもてあそばれ、軸がぶれてしまうか、どちらかである。
加藤社長の経営の基本姿勢は、ずっとぶれない。その上で、事業だけでなく様々な活動が柔軟に変化し続けている。そこを聞けるのが楽しみなのである。
(文責/甲賀雅章)
今までの価値観や制度に疑問を持つ。
必要ならば壊す。
Creative思考を企業も取り入れるべきだと
考えています。
例えば部署名。どこの会社に行ってもそれほど変わりはありませんよね。私たちはDoの仕事、Beの仕事という考え方を取り入れています。Doというのは分かり易く言えば職種、社会的に与えられた名称です。経理部とか総務部とか。Beは、どうありたいか、何をしていきたいのか。気持ちのありようです。人の森の部署名は、このBeを表現したものです。不動産部はまちを盛り上げる部、総務は人の幸せを支える部といった具合です。
もう一つ積極的に取り入れているのが美的経営です。美的センスというのは会社にとっても個人にとっても大切なことだと思っています。これは、心のきれいさも、身のきれいさも、という意味です。美的センスを磨くことは、人や社会との関わりを常に考えることにも通じます。いかに、周りを気持ちよくさせられるか。汚ければ、気分は良くなりませんよね。センスは、生まれ持ったモノではなく、知識や経験、注意力で磨かれるものだと思います。良いセンスから生まれてくるデザインは、さらに人々とのコミュニケーションを円滑に快適にしてくれますよね。働く意欲さえ高めてくれます。細かいことで言えば、衛生週間や安全週間のポスターも国で用意されたモノではなく、人の森オリジナルを毎年作っています。お客様用駐車場にもメッセージが書かれています。重機にもラッピングデザインが施されています。デザインはDesignerだけでなく、普通の人がもっと気を配るものだと思います。一種のコモンセンスだと思います。様々な課題を解決するときにも、Design思考は役立ちますよね。
今、デザインの話をしましたが、これからは、ますます創造性が求められると思います。ポストコロナも含め、テクノロジーの進化など今までとは全く違う世界が迫っています。つまり、従来の発想や価値観では太刀打ちできない社会になっている。そんな時、過去の延長線上だけで物事を考えていても、もはや通用しない。今までの思考、仕組みを断ち切り、未来を描きながら新しい価値を作っていくことが必要になっています。まさに創造思考です。これもトレーニングだと思っています。アートに触れたり、全く異質の世界の人と話すことなどからも、学べるものですよね。自分の中に知らない間に生まれてきたルールやフィルターを一度破ってみる。なかなか難しいですけどね。でも、必要ですよね。特にポストコロナの時代においては。